暮らしのコラム
観葉植物と心地よく暮らす—失敗しない育て方のコツ—
グリーンコーディネーター 寺井通浩さん

観葉植物をうまく取り入れて心地よい住まいづくりを行いたいという方のために、グリーンコーディネーターの寺井通浩さんにお話を伺いました。失敗しない育て方のコツは、観葉植物それぞれの性質に合った日当たりの置き場所と水やりにありました。

観葉植物に癒やしを求める人が増加中

インドアグリーンとガーデンデザインの店「からならの木」には、品種もサイズもさまざまな観葉植物が揃っています。
以前から観葉植物は人気でしたが、コロナ禍で部屋に観葉植物を置いて癒しを求める人が増えました。実際に近隣に住むお客様が、植物を求めてたくさんいらっしゃいました。部屋に植物があると、心に安らぎと優しさを与えてくれます。植物本来が持つ自然の美しさが、家に閉じこもっていた方々の目と心を慰めてくれたのだと思います。
観葉植物を選ぶには、ほしい植物のイメージと生育環境の合致が大切

人気のウンベラータは、暑さに強く寒さに弱い品種。なるべく日当たりの良い場所で育てます。
お客様から「どんな観葉植物がいいの?」とご相談いただくことが多いですが、「こういう観葉植物がほしい」というご自分のイメージと、実際に植物を置く環境条件が一致していることが大切です。
ご相談いただいた場合は、まず観葉植物を置く部屋の向き・日当たり・日照時間を細かくお伺いします。それから植物の樹形や品種のお好みを伺って、その環境に合った観葉植物をおすすめしています。
専門家に相談される場合は、お部屋の全体写真などをお持ちいただくとよいと思います。たとえば南向きのリビングに置くにしても、窓際なのか部屋の奥なのかによっても生育環境は異なりますし、南向きのお部屋でも何か遮る建物が外にあると日照時間も異なります。それぞれの生育環境に合わせて最適な品種を選びましょう。
比較的育てやすい観葉植物は、「①日当たりを好むタイプ」と「②日当たりが少ない場所でも育てられるタイプ」の2つに分類できます。初心者の方は、①と②のいずれかの観葉植物から育て始めてみてはいかがでしょうか。次にこの2つのタイプをご紹介します。
育てやすい観葉植物の選び方 —
①日当たりを好むタイプ

「①日当たりを好むタイプ」に適した場所は、窓から直射日光が差し込む明るい場所です。
「①日当たりを好むタイプ」は、夏場の直射日光にだけ注意して育ててください。最近人気の品種は、フィカス・ウンベラータ、フィカス・アルテシマ、エバフレッシュなど。お好みのものを専門店で相談して選ぶとよいと思います。またハンギングといって、窓辺などに鉢を吊り下げて育てるのに適した観葉植物もあります。こちらもオススメの品種を紹介します。
生育に適した場所 |
・窓から直射日光が差し込む場所 ・3〜4時間は日光が差し込み、終日明るさのある場所 ※夏場の直射日光は葉が焼けるので、レースのカーテンを引くなどの遮光対策が必要 |
---|---|
オススメの種類 | フィカス・ウンベラータ、フィカス・アルテシマ、エバフレッシュ、ストレリチア(オーガスタ、レギネ)、パラオドラセナ、ガジュマル、ベンジャミン(バロックなど)、コウモリラン、ミルクブッシュ、サボテン類、多肉植物類など |
吊り下げタイプの種類 | フィカス・シャングリラ、エキスナンサス、シュガーバイン、グリーンネックレスなど |

つややかな明るいグリーンにイエローの斑入りの葉のフィカス・アルテシマは、最近人気の観葉植物。
大きな鉢に植え替えていくと、かなり大きく育ちます。
育てやすい観葉植物の選び方 —
②日当たりが少ない場所でも育つタイプ(耐陰性)

「②日当たりが少ない場所でも育つタイプ」に適しているのは、直射日光が入らずやわらかい光が入る場所です。
写真はカシワバゴム。何枚も重なったような大きな葉が特徴です。
「②日当たりが少ない場所でも育てられるタイプ」は、やわらかい日射しを好むので直射日光が入らない場所でも生育します。耐陰性とは、日照が少ない日陰のような場所でも生育する植物の性質のことです。耐陰性が強いほど、日当たりが少ない場所に適しています。
生育に適した場所 |
・窓はあるが直射日光は入らない ・やわらかい光が入る、明るさのある場所 ※耐陰性のある樹種でも、室内の電気を消すと昼間でも暗くなる場所は生育がむずかしい |
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オススメの種類 | ドラセナ・グローカル、カシワバゴム、アグラオネマ、シェフレラ(カポック)、パキア、モンステラ、ポトス、アイビー、フィロデンドロン・シルバーメタル、アジアンタム、ケンチャヤシなど |
吊り下げタイプの種類 | フィロデンドロン・ブラジル、リプサリス、ホヤ類、アイビー、ポトス、シダ類など |

アイビー(写真向かって左)とポトス(右)。
育て方の失敗で一番多いのは「水やりのしすぎ」

水やりのタイミングは、土の表面がこの位乾燥してからが目安です。
「うまく育たない」「植物を枯らしてしまった」というお悩みで一番多い原因は、水のやりすぎがほとんどです。失敗したお話を伺ってみると毎日水をやっているという方が多いのですが、それは水のやりすぎです。
水やりは土の表面が乾燥してから。指で土の表面を触ってみて湿気を感じたらまだ早いです。しっかり土が乾燥してから水やりをします。また鉢底から水が出てきたら受け皿に水を溜めたままにしないで余分な水は捨てます。そのままにしておくと根腐れしてしまうからです。

この状態の土はまだ水分を含んでいるのでまだ水やりしないでも大丈夫です。
観葉植物の土が古いままだと、水はけが悪くなり表面に水溜まりができて、根腐れしてしまいます。その場合は新しい土に植え替えをします。土の表面で水はけの状態をチェックしますので、できれば地表はよく見える状態にしておく方がよいでしょう。
水やりは、基本中の基本です。以前失敗した方は、「土が乾いたら水をやる」「鉢底に水を溜めない」を徹底して再チャレンジしてみてください。
鉢のサイズは成育に応じて変えていく

成長した観葉植物は、鉢の中で根が張っています。
観葉植物の成長に合わせて、1〜2年に一度一回り大きな鉢に植え替えることで、根の成長が促されてより大きく育ちます。植え替えの時期は、冬ではなく春先にかけての成長期が適しています。定期的に新しい土に取り替えることで、植物の生育環境も良くなります。
シンボルツリーに適した観葉植物

カシワバゴム(写真向かって左)とドラセラカンボジアーナ(右)。
リビングにシンボルツリーとなるような大きい観葉植物を置きたいという方も多いのではないでしょうか。丈夫で育てやすいゴムやドラセラなどの品種は、大ぶりな葉や樹形が個性的で、日当たりのいいリビングに置くと見映えがします。

オリーブ(写真向かって左)とハナミズキ(右)を庭木として植えた事例。
庭木では落葉樹のハナミズキ、常緑樹のオリーブや白い花を咲かせるヤマボウシなども人気です。花や実がなる樹木は、季節の移り変わりも楽しめます。新しく家を建てた時やお子様が誕生した時などの記念に庭木を植えて、その成長を楽しむ方もいらっしゃいます。そんなに広い庭スペースがなくても、1本の庭木があることで家の顔になります。
植物は、家族の時間を一緒に育む存在にもなります。心地よい暮らしのためにぜひうまく取り入れてみてください。
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記事監修:グリーンコーディネーター 寺井通浩さん
あとがき

からならの木/グリーンコーディネーター 寺井通浩さん
東京都渋谷区上原にある、ガーデンデザインとインドアプランツのお店「からならの木」のオーナー。室内のグリーンコーディネート、ガーデンデザイン(店舗、個人宅、商業施設)、植栽の施工、管理、メンテナンスなどを手がける。
からならの木 https://www.karanara.com/