暮らしのコラム
誰もが取り入れやすい!料理研究家目線のキッチンアイデア
料理研究家 上島亜紀さん

料理する人の顔が見えるオープンなキッチンは、会話が弾んだり、集った人が気軽に手伝えたりと料理だけでなく心豊かな時間も育みます。幅広いレシピ本を出版しテレビや雑誌で活躍する料理研究家の上島亜紀さんのキッチンもまさしくそんなキッチンです。ご自宅でのキッチンの工夫やお気に入りのツールを教えていただきました。

開放的なオープンスタイルのキッチンは2つの動線

贅沢なスペースにコの字型のシステムキッチンを設置しています。大型食器洗い乾燥機(食洗機)とガスオーブンはビルトインです。
撮影の仕事でもプライベートでも大活躍する我が家のキッチン。カウンター越しにリビングダイニングに向かってオープンになっているためお客様との会話が近く、できたての料理を出しやすくなっています。
コの字型でシンクとコンロ回りに作業スペースが多くあるのも使い勝手のいい点です。調理時はシンクで食材を洗って切って準備してコンロやオーブンで調理、片付け時はシンクで食器の汚れを落としてから右下のビルトイン食洗機へさっと入れて。調理と片付けの動線が一方向だからストレスなく使えます。
キッチンにはリビングと洗面所・洗濯室からの2つの出入口があります。キッチン・洗面所・洗濯室の水回りの動線が一直線なので、キッチンの布巾を漂白剤に浸けたバケツをそのまま洗濯機へ持っていけます。2日に1回は、布巾を漂白し一緒にキッチンマットを洗うようにしています。
使うものは使う場所の近くに収納

キッチンカウンター上のリビング側の吊り戸棚には、ワイングラスなどのグラス類を収納。 写真正面奥は食器棚です。
食器は種類毎に収納場所を決めています。グラス類はカウンター上の吊り戸棚、キッチン奥の食器棚には和洋中の食器を棚毎にまとめて収納。収納場所を決めておくと、「カウンター上の吊り戸棚からワイングラスを出して」とか「一番端の食器棚から器を出して」と気軽にお願いできます。親しいお友達はカウンタースツールに座って、キッチンの私とお喋りしながらワインを飲むこともあります。
換気扇のパネルやグリル網、五徳の掃除は食洗機におまかせ

外国製の大型食洗機なので、換気扇のパネルやまな板もまるごと入ります。
よく皆さんに勧めているのは、食洗機です。妹が家を建てるという時にも「絶対これは必要!」と勧めました。食洗機があれば、換気扇のファンやコンロの五徳などの油汚れもすっきり簡単に落とせますし、大型であれば換気扇のパネルも丸ごと入れて洗えます。
コンロや換気扇掃除が大変なのは、五徳やファン、パネルのフィルターに油汚れがたまって落としにくくなること。使う度に食洗機で洗っておけばギトギトの油汚れがたまることもありません。私は揚げものなどの油の多い調理をしたら、その日のうちにコンロの五徳や換気扇のパネルなどをすべて食洗機に入れて洗ってしまいます。だからいつも換気扇のパネルはツルツルできれいなまま。よくある油汚れ防止のフィルターシートを付ける必要もありません。
最近のレンジフードはお手入れが楽になっていますが、それでも洗ったり拭き取ったりは必要です。食洗機に入れるだけで済むお手入れは、やはり魅力。
昔は大型食洗機は外国製しかありませんでしたが、今は国内メーカーの大型食洗機も種類豊富に増えています。これからキッチンを考える人にはイチオシのキッチンアイテムです。
ストック品は「使いかけボックス」で使い切りの工夫

ストック品の棚。手前は開封済みの食材だけが入った「使いかけボックス」。
我が家のストック品は、キッチンにある造り付けのパントリー棚に収納しています。
「コーヒー・紅茶/日本茶・中国茶/パスタ/中華・韓国/エスニック/洋風調味料/パン材料/菓子材料/和風食材」の種別毎にコンテナ収納。開封した食材は「使いかけボックス」にまとめて入れて、使う時はまずそこから確認して使い忘れがないようにしています。
調味料は使う頻度によってランク付けをして収納カゴに入れています。よく使う調味料は、システムキッチンの下段の棚に取り付けた回転式の調味料ラックにまとめて、作業台からさっと調味料に手が届くようにしています。調理の動線ってとても大切です。
オーブン料理は時短のパートナー

ガスコンロの下にあるビルトインのオーブン。今日はストウブの鍋で全粒粉黒糖のパンを焼きました。
オーブン料理はゆっくり時間がある日に作るという人もいますが、忙しい人ほど活用してほしい時短料理のパートナーです。材料を切って味付けして天板やホーロー鍋をオーブンに入れれて温度と時間をセットすれば、あとはほったらかしでごちそうが完成。料理が苦手な人でも、切って味付けしてオーブンに入れるだけの簡単ステップのオーブン料理なら火加減を見る必要がありません。オーブンに入れている間にもう一品二品他の料理ができるのも嬉しいところです。出来たての料理を天板や鍋のままで食卓に出すと、見た目も豪華なごちそう感が増します。
お気に入り用品その① ストウブの鍋は煮込み・炊飯・おでん・串揚げと大活躍

ストウブの鍋は大好きで、これ以外にもさまざまな種類・サイズを揃えています。
ストウブ(STAUB)は、フランス製の鋳物ホーロー鍋。熱伝導率が高く、鍋のままオーブンに入れて調理できるので『何度も作りたくなるストウブレシピ』という著書を出した程、大好きな鍋です。
定番の「ココットラウンド」(写真手前)は、煮込み・蒸しもの・揚げもの・パン焼きなどマルチに使えます。「ラ・ココット de GOHAN」(写真奥左)は、ごはんを美味しく炊くために開発された羽釜の形をした深鍋。私はこれでごはんを炊く他、深さがあるので串揚げにも使っています。浅めの「ブレイザーソテーパン」(写真奥右)は、おでんやすき焼きにぴったりです。ストウブの鍋は他にもカラーがありますが、私は汚れが目立たない黒で揃えています。頑丈なので一生もののキッチンツールですね。
お気に入り用品その② 電気圧力鍋

ティファールの電気圧力鍋。こちらも時短料理の頼もしい助っ人です。
子どもの頃から圧力鍋を使った料理で育っていますが、電気圧力鍋はもう7年以上使っている愛用品です。直火式の圧力鍋は「蒸気の抜ける感じが怖い」「使うのが難しそう」と敬遠する人が多いのですが、電気圧力鍋はその悩みも解決してくれます。
オーブン料理と同じく、電気圧力鍋も直材と調味料を入れて加圧時間を設定したらボタンを押すだけ。レシピ通りの設定で誰でも簡単に、ほったらかしで時短料理ができます。特に便利なのが塊肉や骨付き肉の圧力調理。低温調理では、ローストビーフも最適の温度できれいに仕上がります。
お気に入り用品その③ トレー

木のトレーや脚付盆がお気に入り。
大好きなトレーは、さまざまなサイズ・形のものを集めています。お茶とお茶菓子をセットにしてお出ししたり、トレーを器にしてチーズやパンを直接載せたり、いろいろ活用できるのが気に入っています。
お気に入り用品その④ 食器

陶芸家 岩田哲宏さんのポットとコップ。
岩田さんの作品は、シンプルでいて手の痕跡を感じさせる美しいフォルムの陶磁器。このポットとコップは、日本酒、中国茶、食後酒、何にでも使えて重宝しています。一輪挿しにしても美しい佇まいです。
キッチンは無理なく楽しく効率よく

食卓は、家族がつながる大切な場所。食べる時間が異なったとしても手料理が心をつないでくれます。無理なく楽しく効率のよいキッチンは、家族や集う人たちの笑顔につながります。それには自分がご機嫌でいられるキッチンライフが一番。皆さんも素敵なキッチンライフをお過ごしください。
おすすめレシピ「オーブンにおまかせポトフ」

ストウブの鍋まるごとオーブンで煮込んだ手間いらずのポトフ。
オーブンは直火ではないので焦げる心配が少なく、煮込み中に混ぜる必要がないから、野菜も煮崩れしにくいのが魅力。鍋毎オーブンに放り込んだら完成するというのも嬉しいですよ。レシピを紹介しましたので、ぜひ作ってみてください。
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記事監修:料理研究家 上島 亜紀
あとがき

料理研究家 上島亜紀さん
料理研究家。食育アドバイザーやジュニア・アスリートフードマイスターの資格を持つ。川崎市の自宅にて料理教室「A’s Table」を主宰。 メディア、雑誌などで簡単に作れる家庭料理からおもてなし料理まで幅広く提案。企業、店舗のレシピ監修も手掛ける。著書に『「また作って! 」と言われる おかわりおかず』(池田書店)、『これがほんとの献立のきほん』(成美堂出版)など多数。インスタグラム : https://www.instagram.com/kamisimaaki/?hl=ja