住まいのインタビュー

発災後3日間を持ちこたえるための防災用品リスト
「避難所・在宅避難・ペット同伴避難」
減災ファシリテーター 鈴木 光

もし災害が起こった場合に使う防災用品は備えていますか? 減災ファシリテーター 鈴木 光さんに、
①避難所へ持参する防災用品 ②在宅避難する場合の防災用品 ③ペットと避難するための防災用品
についてお話を伺いました。

避難所へ避難する場合—避難所ってどんな場所?

自然災害直後、自宅が危険な場合にはお住まいの自治体が運営する指定避難所(地域防災拠点)へ避難するケースが多いと思います。ここでは発災直後の1晩〜3日間程度避難所で過ごすことを想定して考えてみましょう。ほとんどの方は避難所で過ごした経験がないかもしれません。避難所はまず安全確保のための場所です。乳幼児や子ども、持病のある高齢者や障がい者の方々は、基本の防災用品にプラスしてそれぞれ必要なものを持参します。

避難所の様子

  • 寝る場所は、体育館や教室の床(寒い、痛い)
  • 食事は備蓄品が放出されるが、アレルギー対応されていないことが多い
  • 夏は暑く、冬は寒い(かなり過酷な環境)
  • 埃が多い
  • トイレは使えるが、不特定多数が一度に使うため、衛生面での不安がある
  • 簡易テントを使える避難所と使えない避難所がある(大きいテントの持ち込みは歓迎されない)
  • 女性の着替えや授乳スペースが確保されていない可能性もある

2016年熊本地震における益城町総合体育館(武道場)の避難所の様子。避難所は、学校・公共施設などを使うことが多いです。(撮影:減災アトリエ)

避難所へ避難する場合の防災用品リスト

非常持ち出し袋に入れておきたい防災用品リストの一例です。PDFのダウンロードはこちら

持病がある方の薬や女性のサニタリー用品など、個人で必要なものもそれぞれの非常持ち出し袋に入れておきましょう。リストにはありませんが、小さいお子さんはいつも使っているおもちゃやぬいぐるみがあれば知らない場所でも安心できます。個々の事情に合わせて臨機応変に考えてください。

避難する時は道路の陥没や落下物などの危険もあります。リュックなどで両手を使えるようにして、できれば軍手、厚底の靴、ヘルメット(なければ帽子)を身につけて避難しましょう。避難所は、空調がない・温度調整ができない場合があります。季節に応じて、自分で温度調整しやすい衣類を着ていくことをおすすめします。

「アレルギーがあります」テープ。お子さんの服に貼っておくと安心です。なければ、カードを作って身につけておくと安心です。

避難所では備蓄されている食品が支給されますが、アレルギー対応食の支給は難しい場合もあります。アレルギーのあるお子さんのいるご家庭は、事前に用意しておくのが安全です。知らない人との共同生活になる避難所では、何を勧められて口にするかわかりません。お子さんの安全のためにも事前に配慮しましょう。

非常持ち出し袋はすぐ取り出せる場所に

非常持ち出し袋はベッド下に置くなど、すぐ取り出せる場所に。

非常持ち出し袋は玄関の靴箱やベッドの下などのわかりやすく取り出しやすい場所に置きます。水や食品は賞味期限があるので、定期的に中身を点検する習慣があるとなお良いですね。

家族の連絡先リストや写真・貴重品は、小さなポシェットにまとめて肌身離さず持ち歩きます。

避難所は不特定多数の人が共同で生活するので、貴重品は身につけてトラブルを避けましょう。お財布に家族や友人の連絡先リスト(電話番号やメールアドレス)を書いたメモを入れておくと何かと便利です。

在宅避難する場合—そもそも在宅避難って?

背の高い家具を置かない・家具を固定する・割れたり飛び出すと危険なものを置かない。
自宅にきちんと防災対策が施されていたら、そこは安全な避難所になります。

災害が発生した時に自宅が倒壊や浸水の危険がない場合には、避難所へ避難するのではなく、自宅で避難生活を送ります。住み慣れた自宅であれば、心身の負担も軽減します。

背の高い家具を置かない・家具を固定する・飛び出すと危険なものを置かない。1部屋だけでもいいので、自宅にきちんと防災対策が施されていたら、そこは安全な避難所になります。

在宅避難する場合の防災用品リスト

在宅避難のための防災用品リストの一例です。PDFのダウンロードはこちら

ガス・水道・電気が止まってしまってもカセットコンロと食材の備えがあれば、ポリ袋を利用した湯せん調理で数日凌ぐことができます。

我が家では、かさばらない折り畳み式のポリタンクを常備しています。備蓄した水を使い切った後に、給水所でもらった水を節水しながら使うのに便利です。

在宅避難時、太陽光発電のない家はポータブル電源があるとさらに安心

ご自宅に太陽光発電がない場合は、ソーラパネル付きポータブル電源がおすすめです。(写真:EcoFlow RIVER)

在宅避難をもっと万全にするのに、鍵となるのは電気です。蓄電もできる太陽光発電搭載のご自宅であれば安心ですが、ない場合は停電時にも対応できるポータブル電源があれば安心です。スマホの充電はもちろん、テレビやキッチン家電にまで電力を供給できる製品があります。注意したいのは、どちらの場合も「ある」だけで安心しないこと。普段からどう使うのか理解して、フル充電できているかチェックするように心がけてください。

ペットと避難するための防災用品リスト

ペット防災は、普段からやるべきこと・考えておくべきことがたくさんあります。PDFのダウンロードはこちら

ペットを飼っている方は、災害時のペットとの同行避難について考えておきましょう。まずお住まいの自治体でペット同行避難を受け入れているかどうか、事前に確認する必要があります。他にもワクチン接種や不妊去勢措置、万一迷子になった際のマイクロチップや連絡先入り迷子札の装着など、普段からやっておくべきことがたくさんあります。ペットフードやトイレ用品の備蓄だけがペット防災ではありません。いつもの「しつけ」や健康管理もまたペット防災につながります。

熊本地震の時に益城町に設けられたペット同行避難のための「ましきまちワンニャンハウス」。ドッグランも避難所に併設されました。

熊本地震直後、しばらくの間は人とペットが避難所に混在していました。そのことで動物嫌いの方からのクレームや犬が人を噛むトラブルが発生し、ペットのために危険な家へ戻ろうとする方まで出てきました。その後は避難所にペットのための避難所が併設されて、ペット同行避難の必要性が広く社会的問題として知られるようになりました。環境省でも災害時のペットとの同行避難計画についての災害対策ガイドラインを設けて周知に努めています。

猫の場合の基本の防災用品

猫の場合の基本防災用品。猫1匹でもこれくらい必要になります。

犬と猫とで必要なものは異なりますが、基本はペットフードと水、トイレ、ケージかキャリーバッグです。避難所ではペットフードまでは支給されません。必要なものはすべて自分で用意するつもりで備えましょう。ペットフードやトイレ用品は、少し多めに購入してストックする「ローリングストック方式」が役立ちます。人間用携帯トイレに使う消臭袋は、ペットの糞の消臭にも効果があります。

災害時に持ち出す物の総量をイメージしておきましょう。人間の分と合わせると一度に運べる量には限界があります。持ち出す物の分担を、あらかじめ家族と決めておけると良いですね。

また、避難所に行かずにペットと在宅避難の場合も、安全な家で生活できるように備えることが大切です。落下物が少ない家はペットにとっても安全ですし、災害時に停電になっても灯りを確保できることは安心につながります。飼い主がパニックにならないことはペットの不安を和らげます。防臭袋など、ペットのための備えが人の役に立つこともありますし、今から災害時の在宅避難生活をイメージして、人もペットも守れるようにしましょう。

自治体や防災関連サイトの情報を活用しましょう

私が協力した「新宿区女性をはじめ配慮を要する方の視点でのワークショップ」レポート。
新宿区では、女性、子ども、高齢者、障がい者などの多様な視点を取り入れた避難所運営の取り組みを行っています。

避難所の運営方針は、自治体によって異なります。まずはお住まいの自治体に、指定避難所について問い合わせてみましょう。自治体には防災用品リストなどを記載したパンフレットも用意されていますので、ぜひ活用してください。また「内閣府 防災情報のページ」「TEAM防災ジャパンのサイト」でも防災に関する動画やパンフレットを閲覧できます。

防災・減災に関する情報はさまざまな所から入手できますが、まず行動してみることが大切です。今回のリストを参考にしながら、ご自分や家族に本当に必要なものかどうか考えながら準備してみてください。

記事監修:⼀般社団法⼈減災ラボ 代表理事 鈴木 光

あとがき

⼀般社団法⼈減災ラボ代表理事 鈴⽊ 光さん

減災アトリエ 主宰、減災ファシリテーター、防災図上訓練指導員。建設コンサルタント退職後、フリーランスの減災ファシリテーターとして活動し、2015年5月に減災アトリエを設立。全国各地の自治体職員・地域住民・学校・企業等に、防災ワークショップや防災講座、訓練企画等を実施。2013年に地図とクリアファイルを使って⾃分だけの防災マップを作る防災教育プログラム「my減災マップ®」を考案。現在は、各地の学校教育現場、⾃主防災活動等で取り⼊れられている。朝⽇新聞(神奈川版)で⽉1回(最終⼟曜⽇)の減災コラム「がんばらない減災のすすめ」連載中。

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